INTERVIEW

paionia × Sentimental boys presents「年輪」インタビュー

paionia×Sentimental boys インタビュー

来たる2017年11月26日(日)、ここ下北沢GARAGEにて「年輪」と称されるツーマンライブが行われる。
このイベントに出演するpaionia、Sentimental boysがその共同主催者である。なぜ今この2バンドが共同イベントを開催するに至ったのか、そして「年輪」という言葉に込める想い。彼らをよく知る小牟田玲央奈氏(吉祥寺WARP店長)が話を訊いた。


インタビュー=小牟田玲央奈氏(吉祥寺WARP店長)

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—— ちなみに2バンドとも上京バンドじゃん?東京どうですか?(笑)  なんかずっとやってきて違和感無くなってきてると思うんだけど、この東京という存在に。

菅野:バンドとかやってられるのって、東京だけな気がする。なんとなく、客観的に。

上原:まあ正直、俺は長野でやりたいけどね。

—— あぁ、そういうイメージもあるんだ?

櫻井:俺らはありますね。

高橋:東京はきつい?

上原:まあ両方に欲しいものがあるから難しいんだけど、、でも生活のことを考えると、いつか長野で暮らせたらなって。

—— てかお前、今被ってる帽子、長野五輪帽子やないか!愛がすごい(笑)

一同:(爆笑)

櫻井:なんか長野にいた方が、純粋に音楽を追究できる気がして。まあ家賃とかもないし(笑)、あと自分らでスタジオ作っちゃったりして、自由にやれるんじゃないかなと。

上原:音楽的な生活になれるんじゃないかってね。

—— あぁ、そういう意識あるんだ。もっと東京にどっぷり染まってるのかと思ってた(笑)

菅野:地元に帰ってる時と、東京にいる時って、聴く音楽違くない?受け取り方とかも。

櫻井:まあそうかもね、作る曲も変わってくるし。

高橋:え、作るの?帰った時とか。

櫻井:実家にピアノがあって、なんかこう山とか見ながら弾いてたりすると出てくるメロディーが違うというか。

一同:(笑)

堀内:単純だな(笑)

—— のどかな感じが入ってくるんだ(笑)

高橋:いやほんとに、、ギスギスした曲になるもんね、、東京にいると。もう人の嫌なところばっか見つけて曲作ってたというか…(笑)。大学時代とか、もう何回もインタビューとかで言ってるんですけど、大学の授業中とか、なんか本当嫌じゃないですか。「こいつら、、」としか思えない奴らを見ながら曲書いてたんで。山を見ながらとか、曲書いてみたいですね。

一同:(笑)

高橋:木陰に座って曲を書いたりしたらどんな曲ができるんだろうっていう(笑)。興味ありますね。

—— まあでも両バンドとも、その時いる環境で曲が変わってくるってことでしょ。想像とかじゃなくて、かなり直情的なものというか。

高橋:そうですね、その時の環境に左右されますね。

—— ライブに対する意識も変わった?

上原:変わりましたね。冷静さという部分は大事に思えてきました。

菅野:センチのライブは熱がゆっくりゆっくり上がってく感じがする。だから冷静なんだろうね。僕らは逆に単発で、曲の中で上がって、曲間は冷めるというか。

高橋:俺らは一曲目で使い果たす時あるもんね。

菅野:あるある。これで終りゃいいのに、っていう(笑)

—— ツーマンになってくると曲順が大事になってくるね。paioniaはセットリストどうやって決めてるの?

菅野:前日の夜とか当日に彼(高橋)から曲目が送られて来て…

櫻井:当日!paioniaってそういうバンドだったんだ!(笑)

——「これで!」みたいな?

高橋:そうっすね。

菅野:あとはやるだけ、みたいな。でも多分歌う人は気持ちの持っていき方が重要だよね?楽器演奏する側はそんなに曲順は意識しないかもしれない。

高橋:どうなんだろね、お前はそうかもしれないけどねえ。どうなの?センチは。

櫻井:俺らは1曲1曲ってより、とにかく音の流れが重要で。全曲通してこの曲の後にこの旋律がきたらいいな、みたいな。

高橋:確かにセンチのライブは、ほんとにステージというか、意識してるかはわからないですけど、流れが舞台という感じ。

—— うんうん。心地よさがここに残ってて、スーッと次の曲に流れるみたいなね。そう聞くとそれもまたpaioniaと違うよね。paioniaは、1曲終わるごとに「はい、ありがとございました〜」みたいな感じだもんね。

一同:(笑)

高橋:基本、演りたい曲をやるって感じなんです。流れもまあ一応は考えてますけど。でも流れを取るか、演りたい曲を取るか、だと演りたい方になっちゃうっていう。

—— でもこいつ昔、ほんと毎度毎度曲終わるごとに「ありがとうございました」って言ってたから、「え!もう終わりなんだ!」と思いきや、「あ、まだか!」みたいな!(笑)

高橋:みんなハテナマークだったもんなー。

菅野:今もそうだよー。

一同:(笑)

櫻井:paioniaが前にも言ってたけど、ライブしてるってより1曲1曲発表してるイメージがある。

—— そこ、ツーマンの長尺でも突き通すんですか?(笑)

高橋:いや、そこは最近は、、んー。

菅野:センチに決めてもらったら?

高橋:正直、決めてほしいっすけどね(笑)!自分で決められないんで。

一同:(笑)

高橋:無理矢理決めるしかないから決めてる。言ったら全部演りたいんで。

—— なるほどね。もーー、全然違うじゃん!この2バンド!

上原:でも、いま話聞いてて、1曲1曲ごとに「ありがとうございました」っていうくらいの切り替えをしてみたいって思ったりもしましたけどね。直前にやってた曲の影響を受けずに器用にMCとかできたらどんなに楽かなーと。

櫻井:たしかに。俺らしゃべりがくそつまんないんで(笑)

—— いや!そこはねー、ぶっちゃけ共通してるよね!(笑)

一同:(笑)

櫻井:でもpaioniaはおもしろいですけどね。

—— おもしろいかな?(笑)

櫻井:俺らは間があると嫌な空気が流れちゃうっていうか、とにかく音を繋げていたいっていう。

堀内:うまいこと言うの考えるくらいならいい繋ぎ方考えたいしね。

高橋:そういう意味では俺らは無音をものともしないもんね(笑)

—— 動じないよね。

菅野:センチより不純なんだと思う、伝えたい事が。

櫻井:いや、そんなことないよ(笑)

菅野:音楽的というか、音を繋いでいって、伝えたいってことだもんね?

櫻井:えっとねー、音が途切れるとただこっちのテンションが下がっちゃうのよ。

—— でも無音にはライブ特有の緊張感があったりするよね。ステージと客席との。話聞けばこの2バンド、表現の仕方も全く違う訳だしそこもイベントの見所だよね。

櫻井:そこも楽しんでもらいたいですね。

高橋:でも盛り上げ役が一人もいない、、、、。

一同:(笑)

—— そこだよねえ。

高橋:でもお客さんも居心地いい日になるんじゃないかなーと思いますけどね。

上原:うんうん、誰も無理しなくていい空気。

高橋:「盛り上がっていきましょう」って言ったら一番戸惑うのお客さんだもんね。

櫻井:え?今日そういう日なの?みたいなね(笑)

上原:無理しないっていいよね。手を抜く訳じゃなくてね。

高橋:いいよね。当日は普段と違う気持ちでいれそうだな。普段のライブは対バンとかだとバトル意識あるんですけど、、。昔UKの社長に「お前らは本当にアウェイのイベントのときが一番いい」って言われて、まあ別に納得はしてないんですけど。

—— いつでも一緒ですけど、みたいな?(笑)

高橋:今回のイベント、バトル意識が無いって言うとあれですけど、単純に楽しみ。楽しむんだろうなーっていう。

—— 長年付き合ってきた、この数少ないバンド友達とのイベント!(笑)

高橋:ツーマンはやったことなかったですからね。

櫻井:やっぱり音楽性は違うとは思うんですけど、精神的に似ているんじゃないかなってのはずっと思ってて、それが観にきた人にも伝わるんじゃないかなって。そんな日になるといいなあって思います。

高橋:でももともとはスリーマンという考えもあったんです。というのも、根本を言えば別にツーマンでいいんですが、やっぱり広げていかないと、大きくしていかないと。そういう意味で最初は僕らもセンチもいいと思えるバンドをゲストで呼んで、スリーマンをやろうということだったんです。でもまずそこから難航して…

堀内:そんなバンドいるのか?ってね(笑)

上原:最終的にもうツーマンだー!って。

—— でもスタートダッシュとしては一番良かったんじゃない?今後はゲストを呼ぶ事もあり得るってことだよね?これだけ長いことバンドやってるのに、舵を取る事ができないこの2バンドがやっと動き出したって事だよね(笑)。櫻井の気持ちがきっかけだったとは思うんだけど。これは重要な事だと思うから。

櫻井:本当そうですね。今回で終わりにするつもりは全く無くて。まずは俺らの事だけを知ってる人たちに、paioniaというバンドを知ってもらえたらなと。勿論その逆もそうだし、この2バンドの感じをしっかり受け取ってもらいたいですね。

—— まあ正直、paioniaもSentimental boysも独特だからね、今んところ。凄くエンタメ性があるわけでもないし、若くもないし、もう若手として見てないからね。

櫻井:レオナさんが一番最初に見抜いてくれたんじゃないですか?

堀内:見抜いたってなんだよ(笑)

櫻井:「音人の休日」でオープニングアクトにこの2バンドを選んだわけだし、何か近いものがあるなってのをね。

—— まあそん時一番期待してた2バンドだっただけだけどね。「早くフックアップしたい!」みたいなね。すごい時を経たよね…。もう売れてる売れてないとか関係なしで続けてくれてる事が嬉しいけどね。

上原:あの頃「お前らは絶対バンド名変える」って言われてたけど、まだ変わってません(笑)

—— ちなみにこのイベントのタイトルは?

堀内:『年輪』ですね。

——ハマりすぎてんじゃん!!(笑)驚くほどハマってるよ!

櫻井:これは勇成くんの発案で。

高橋:なんかイメージですけどね。バチっと意味があるわけではないですけど、年輪って年を重ねるごとに増えていくんですよね?その木の幹のように僕らも大きくなっていきましょうっていう(笑)

——いや、ぶっちゃけハマってます(笑)。めっちゃ良いと思うよ、この2バンドだからこそ。

櫻井:本当スムーズに決まりました。

高橋:まあ年相応というか、若くもないし、ちょっとだけ爺ちゃん感あるけど(笑)

上原:どんどん輪をかけて太くしていきたいですねー。

高橋:他のそういう同じ気持ちを持ったバンドというか、いいなと思うバンドの人達がどんどん重なっていったらいいなーと…。10年近く誰もいなかったんで。こっから僕らを中心として。

—— 僕らを中心としてってそこが重要だと思う。

高橋:どこにも属せなかったわけですから、新党結成っていうか。

堀内:そこがね、今回の一番の意味みたいなとこなんですよ。

—— でも本当重要だね。これまで長い年月かかったけど、この2バンドから何かを起こそうというきっかけの日だからね。

櫻井:なんか今結構ポジティブな気持ちで、僕らのことを分かってくれる人が絶対どっかにいるだろうなって思ってて。

高橋:とりあえず集めたいよね。

櫻井:だからその、最近チケットの先行販売をしたんですけどまさかの予定枚数以上の応募が来て、それがとにかく嬉しくて。「あ、友達こんなにいたんだ!」って思えたのは初めての感覚で。

高橋:正直、まだ発案の段階では「俺らだけでやれんのか?」みたいに思ってましたけど。でも少なくともこれだけは気にしてくれた人がいるんだってのは嬉しかったですね。ちょっと宗教っぽいですけど、みんな友達みたいな(笑)

—— 俺たちのこと分かってくれるってことはみんな友達だ!って事ね(笑)

上原:共同企画でツーマンってのも俺たち感があっていいよね。

—— まあでも凄くいいきっかけだよね。ずっと活動してきて「何か違うなー、こういうの何か違うんだよなー」って思ってた事を自分たちで形にしちゃおうっていうさ。

櫻井:最近はもうずっと音楽以外の雑念が膨らんでいった感じがしてたんですけど、今回のこのイベントは全く嘘をついてないんで。ほんと自分らのやりたいことをやって、こんだけ賛同してもらえてるからとても嬉しいし、あとはもうやるだけだなと。

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