—— まず、この共同企画をやるっていう流れ自体はどこから来たの?
高橋 (paionia Gu&Vo) :まあそこは櫻井くんが発起人ですから。
櫻井 (Sentimental boys Ba.) :俺がまず、やりたいなと思って。
—— なんで?
櫻井:んー、まあ一言で言うと、直感というか。
—— 直感(笑)
櫻井:結構これ話すと長くなると思うんですけど…。
—— (笑) でもそこは知りたいところではあるよね。
櫻井:そうですよね(笑)。えー、まずここ何年かバンド活動してきて、なんかこう窮屈というか、居心地の悪い感じがあって。で、どうにかしなきゃなってことをずっと考えていて、それで直感で「あっ、このイベントやった方がいいな」ってなったんです。
—— paioniaだったらこの感覚を分かってくれるんじゃねえか、みたいな?
菅野 (paionia Ba&Vo) :あ、いい。
一同:(笑)
菅野:いいねえ。潤滑油だね。
櫻井:そうですね、この窮屈な感じをなんとかしなきゃなって思った時に、「あ、もう自分らで作ればいいんだな」っていうところに辿り着いて。まあ自分達だけでもそういうイベントはできるんだけれど、なんかもっと面白い、膨らんでいきそうなものをやりたいなと思って、真っ先にpaioniaに声を掛けました。
菅野:ありがたい!
高橋:僕らも何の波にも乗れなかったというか。なんかいろんな流れがあるじゃないですか。だからそれを作っちゃおうと。
櫻井:そうそう。そうです。
—— 始まりではあるっていうことだよね。この2バンドの。
櫻井:いやもう始まりでしかないです、これは。
上原 (Sentimental boys Vo.Gt.) :芯となる部分を2バンドで作っていこうということだよね。
—— そもそも、この2バンドは出会ってどれくらいだっけ?
菅野:もう長いよ。
上原:7年くらい経つね。初めて一緒にやったのが2010年の秋頃。
菅野:7年経ってるんだ!一昨年くらいじゃんとか思ってたけど。
上原:昔、吉祥寺WARPが「音人の休日」っていう2デイズのイベントをやって、その片方のオープニングアクトでpaioniaが出てて、もう片方に俺らが出てたんですよ。当時俺はワープで働いてたから話したりとかはあったけど、まだちゃんとバンドでは知り合ってなかったですね。
—— それも7年前だっけ?
櫻井:それも2010年ですね。
上原:俺当時もめっちゃpaionia好きで、やっと対バンできるってなって。
菅野:またまた~。
上原:で、対バンできたのが八王子MatchVoxで。
高橋:それっていつ?
櫻井:「音人の休日」の半年後くらい。
—— なるほどね。そもそも2バンドの結成はいつ?
菅野:僕らは2008年です。
高橋:てことは、9年…。
—— センチは?
櫻井:俺らは高校一年生からなんで。
—— 高校一年生からだもんね!(笑)
櫻井:くっついたり離れたりしながら(笑)
—— 長いことやってきてますね。2バンドとも。
菅野:懲りずに(笑)
—— じゃあ結成から今までで、変わったなあと思うタイミングはある?
高橋:僕らはやっぱりCDを出したタイミングじゃないですかね。初の全国流通版を出して、状況は変わらなかったけど、始まったよね。色々考えることが。
—— そのリリース前って、何というか、柔らかかったじゃない?歌モノというか、恋愛モノの歌詞も多かったし。でもちょうど震災後とかレーベルと関わるようになるタイミングで、棘が生まれてきたというか、かなりパンクっていうか。曲があれ?こんなにとんがってたっけ?みたいな。
高橋:最初はほんとにもうシロップ(Syrup16g)でしかなかったですからね。周りからの評価的にも。
櫻井:確かに、出会った頃とイメージは結構変わってる。
—— 俺はそもそもシロップ知らなくて、ただただ良いバンドがいるってだけで。
菅野:「俺はシロップとか全然わかんねえけど~」ってよく清算のときに言われてた(笑)
堀内 (Sentimental boys Gt.):でも、どうしてそこ(Syrup16gっぽい時期)から変わったのか、気になりますね。
—— あんまり自分らでは変わったって意識はないの?
高橋:リリースする前ってのは、やっぱりその、狭い規模感でしか物事を見てなかったし、自分らが出るライブハウスの対バンぐらいしか知らなくて、根拠のない自信がすごいあって。絶対いけるでしょっていう。まあ、それに甘んじてた。甘んじてたというか、良く言うと、心のままに曲を作って活動してました。でも、リリースしても状況が変わらない事とか、同じレーベルから出してる他のバンドのライブを見たり、今までに比べたら規模が大きいライブに出たりとかすると、今までとは違う世界だなって感じて。これじゃ自分らは勝てないなって。そこで、ちょっと意識し過ぎるようになりましたね。「もっと、ライブで自分らの印象を残さなきゃ」って。それはそれで良いんだけど、俺からすると、そういうのは雑念というか。だからそういう意識が、作る曲にも入ってたんじゃないかな。
—— そういうある種のヘイト感みたいなのが純粋に出てきてるなって感じた。昔は突拍子もなく、「そこでベースが暴れ出します?」みたいな瞬間あったけど(笑)
高橋:サイケデリックでしたよね(笑)
—— でもそれはそれで、なんか混ざる感じで面白かった。
高橋:菅野とはその辺は乖離してましたね。シュッとした感じでやりたいこっちと、わけわかんない動きするこいつと。
—— それは俺の中で結構センチも似てて、曲が時期によって全然変わるというか。最初に出会った10代の頃は、言うなればJ-POPというか、なんつーんだろうな、、名前からして青春パンクなのかなって思ってたんだよ。
堀内:まあでもそういう音楽やってましたよ、当時は。
—— そこもなんか大人になるにつれて意識が変わってったってこと?最近じゃもう音作りからなにから拘るじゃん(笑)
高橋:機材も多いし(笑)
櫻井:まあ俺らも視野が広がっていっただけというか(笑)
上原:意識的に変わっていこうというよりかは、自然とみんな変わっていったよね。
堀内:まあでもうちは櫻井くんが作る曲に導かれてく感じはしますね。
—— 最初の頃は今やってるようなリバーブ感のある曲、そういう方向に行くって思わなかったの?
堀内:最初は、そこ行くんだ!って思いましたけど、でもいいなって。
—— なるほどね、まあそういう流れが2バンドともあるじゃん?昔の曲やれって言われたらどうなの?(笑)
高橋:まじでやってない曲もありますけど(笑)。でも、できますね。
—— 9年前の曲も?
高橋:すごい歌詞だな、と思いながら歌いますけど(笑)
上原:「暮らしとは」とか?
高橋:いや、「暮らしとは」はその時やってた中でもちょっとませてたというか(笑)、それは最近もたまにやってる。
—— センチは?
櫻井:俺らもやったりしてますよ。「metro.」とか。
—— いやいやもっと前!(笑)
櫻井:「metro.」は2011年くらいの曲で、実は結構昔の曲なんですけどね。
菅野:そうなんだよね〜、最近な感じがするんだけどね。
上原:当時の曲は、テンポ早くて、歪んでて、ストレートみたいな曲になってくると、僕は当時ギターを持たず歌ってたんで、その感じは今は出せないというか。
堀内:正気じゃできないですね(笑)
—— 一回自分を戻さなきゃいけないんだね、あの頃の自分に(笑)
櫻井:昔の上原はライブ中上裸で、数珠つけて、オカリナ吹いたりしてたんで。
上原:もっとも変わったのは服を着たことですかね。
一同:(爆笑)
—— 今はこの落ち着き具合。すごいね。
上原:今はいかに冷静にやるかってのを意識してますね。
高橋:確かに、冷静にやるってのは結構意識するようになってきたかも。
櫻井:へぇ、そう?paioniaは逆だと思ってた。
高橋:ああ、勿論、絶妙な加減が…、ただやるだけじゃダメだなっていう。なんかね、結構演奏めちゃくちゃだった時って後味そんなよくないもんね。俺ら自身がね。もっとちゃんと弾きたかったなって。
櫻井:観てるこっちは気持ちいいけどね。
高橋:うん、だからなんか、ちゃんと弾けて、でもめちゃくちゃやれてるっていう。それが理想なんですけどね。
櫻井:paioniaは、出会った頃は冷静に淡々とやってるイメージだったんだけど、どんどん熱量を帯びてきて、だから俺らと逆なんだよね。
—— そう考えるとそうだね。paioniaの第一印象はクールにいい曲をやってるっていうイメージ。
櫻井:そうですね、言葉がどんどんストレート、ってか、尖ってきた感じがする。逆に俺らはどんどん濁ってきた(笑)
—— (笑) そう意味では、違った意味でこの2バンドは対比してるみたいなバンドなんだね。
高橋:確かに。丸くなっていくと思いきや、って感じですよね(笑)
上原:でもなんか、リンクするところは今も、これからもあるんだろうなって感じはしますね。