はじめに・・・
ぼくたちのだいすきな、この街と音楽を、様々なゲストをお招きして紹介してゆこうという、このコーナー。
今回は、下北沢の一番商店街で個性的なパンづくりをしている「mixture」のマスター、中井さん、そして、昨年の夏から密かなブームになっている(謎の)DJミラーボールが初対面・初対談。下北沢、そしてパン、音楽の魅力をたっぷりお伺いいたしました。どうぞ、おたのしみください。

「なんか1つ目玉となる物がないと もたないなぁと(笑)」

中井 慈 (以下 中井)
:このパン屋開いたのが約1年半前で、2年前までサラリーマンだったんですよ。
DJミラーボール(以下 ミラー):はい
中井:で、会社を辞めて、辞めたとたんに前の方が亡くなったんですよ。でこのまま継ぐ形になったんです。
ミラー:なるほど。じゃあすごくパン屋を開きたいと思って、ずっと昔からやられているよりも、割と偶発的な・・
中井:そうですね。
ミラー:パン屋やりたいなぁとは思われてたんですか?
中井:大学の時に飲食店を開きたいっていう風には思っていたんですよ。それは今でも変わらないんですよ。別にパンにこだわってる訳じゃない。飲食店を開く為の武器として何がいいのかなぁと思って、たまたまパンと巡り会って、それにはまって今の状態になったっていう。
ミラー:僕のほうは、前身バンドの頃からGARAGEさんにはお世話になっているんですけど。まだメンバーみんな、学生の時で。メンバーは基本的に同級生なんですよ。
中井:ふーん
ミラー:何の同級生かって言うと、長くて中学の時から大学まで。僕は大学から東京に来て、その今のメンバー達と会って。で、就職とか、卒業とかの流れもあって、その前のバンドは一旦やめようと。で、新しく出来たのが今の東京パレードっていうバンドなんです。で、前のバンドの時はメンバーでは無かったんですけど、デザインというのが一応出来たので、ジャケット作ったりとかフライヤー作るお手伝いというか、スタッフみたいな形で関わっていて、東京パレードになった時も同じような形で関わっていたんですけど、僕もサラリーマンだったので、忙しくてなかなかバンドの方は出来なくて。で、サラリーマンを4年位やって。デザイン系の会社に入っていたんですけど、ほぼ軟禁状態の生活で、全然家に帰れない(笑)徹夜徹夜で休みもあって無いような物で。そんな生活をしてまして、そろそろ辞めたいなぁというのもあって、で、たまたま会社の同僚とかと一緒にやろうよみたいな事になって、偶然が重なって2年ちょっと前に会社としてスタートして。で仕事としてはそのデザインの会社をやっているんです。で、それをやりながら時間も出来たので、バンド活動にも積極的に関わるようになって。で、去年の夏にメンバーの1人が入院する事になって。その頃バンドとして良い時期で、初めて大阪でライブが出来たりとか、周りがすごく良い状態になってきて、バンドの状態もいいんだけど、ちょっとネガティブな話題が出るのもどうかという事で、メンバー的にもこういうのを投入したらどうかと(笑)面白いんじゃないかみたいな。で、夏くらいから期間限定で、最初スタートしたんですけど。最初からミラーボールあった訳じゃなくて、それまでは自由勝手にステージ上で、DJという名目で、打ち込みの音を流すという・・。演奏する訳ではないので、手持ち無沙汰で(笑)ダンス的な物をやったり、自由にお客さんあおったりして。
中井:ほぉー(笑)
ミラー:そんな中で、なんか1つ目玉となる物がないと もたないなぁと(笑)
一同:(笑)
GARAGE 出口(以下 出口):DJなんてやった事無かったもんね(笑)
ミラー:DJなんてやった事ないんで(笑)もう、もたないですよ(笑)で、飛び道具で小物を使い出したり、で、ちょっと目立ってた訳ですよ。で、こういうのを作るきっかけになって、で、それからはこれを被ってやることになって。で、まぁ面白いという事で、他のバンドさんがウチにも出てよみたいに(笑)
中井:まじで(笑)
ミラー:で、そういう感じで出させていただいて。で、先程の幕張メッセでやらしていただいたっていう事から(笑) 他のバンドで(笑)
中井:すごいいいですよねー(笑)
ミラー:ステージあがって4ヶ月くらいで(笑)っていうのは、他のバンドさんには申し訳ない位なんですけど(笑)
中井:緊張しました?
ミラー:やっぱり緊張はしましたね。普段からあまりしないんですけど。でも萎縮しててもしょうがないというか。
出口:お客さん何人くらいいたんだっけ?
ミラー:4000、5000人位。
中井:だぁ!すごいですね。
ミラー:満員で埋まってて。喉カラッカラッでしたけどね(笑)
中井:(笑)
ミラー:緊張して(笑) 出たらもうなんか今までに無い位の。やっちゃえばいいやぁって。
中井:すごいですね〜。
出口:CDJ(カウントダウンジャパン)の記事見ました?
中井:見ました、見ました。めっちゃもう真ん前に(笑)
ミラー:(笑)他のメンバー全然顔出てないのに(笑)
中井:謎のDJミラーボール(笑)かっこハテナって書いてありましたね(笑)
一同:(笑)
ミラー:ランクヘッドっていうバンドで出させていただいたんですけど。ランクヘッドのライブには勿論出たこと無かったし、仲間的なイベントではステージあげてもらって一緒にライブしたりとか、先程言った大阪にも一緒に連れてってもらって、ランクヘッドがイベントやるから東京パレード出ないかとか、そういうので、ステージあがってワイワイ楽しくやらせてはいただいたんですけど。そういうちゃんとしたというか、自分で言うのも何ですけど、大抜擢されて(笑)、すごい大きなステージを踏ませていただいた事に感謝しています。
出口:ミュージシャン憧れの聖地へね(笑)
中井:(笑)大出世ですよね(笑)
ミラー:半年前は、変な話、そこの舞台に立ちたいとも思ってない訳じゃないですか。自分裏方だったので。そこを目指してやってる訳では無かったので(笑)
中井:そういうものなのかもしれないですよ(笑)
ミラー:すごいありがたいなぁと。ギターの奴も無事戻ってきたので、僕の役目は終わりというか、まぁ期間限定で、ステージ降りて今まで通りになろうみたいな話もあるんですけど、もうちょっとひっぱって・・(笑)
中井:もう辞められなくないですか?(笑)
ミラー:まぁ僕も正直辞められないんですけど(笑)
中井:ですよね(笑)
ミラー:(笑)
本当に気持ちいいんですよね (笑)楽しければいいなというのが、根本的にはあるので。すごい楽しみ方をさせていただいているなぁと。
中井:他のメンバーに嫉妬されますよ、多分?
ミラー:かなり嫉妬してると思います(笑)こんな場にも出させていただいて・・(笑)代表でしゃべるなんて事ありえないですからね。(笑)
中井:すごいですね。いや、でもすごい才能じゃないですか。さっき、さらっておしゃってましたけど、会社を作られた時だって、社長じゃないですか?
ミラー:いや、それも偶然というか・・
中井:いや、それは偶然じゃないと思います。
ミラー:いや、色々ラッキーな事が重なったんですよね。
中井:人柄とかね。
ミラー:そういった事があるといいんですけどね(笑)


「ここの周りって若くても、がんばっている方が多い。


出口:中井さんがこのお店を持つきっかけというのを知りたいですね。
ミラー:それそう!すごく聞きたい。
中井:大学の時は、飲食店を開きたいという夢があったので。社会人5年たった時に、選択できるようにしたいと思ったんですよね。それに向けてお金ためたり、パン習ったりしてたんですよ。で、実際5年たった時に、選択出来る状況にはなったんですけど、パンの方にも行けるし、会社の方にも。自分の好きな方にこれから行けるなと。その時に、どっちがいいかなぁと思ったら、若干パンの方が面白そうだなと思って、会社を辞めてパンの方へ。パンの方に行くっていうのも、店を開くというのを前提でパンの方を選んだので。
その時に物件探しも結構始めてたんで。
おじさん(先代)が亡くならなくても、他の所では。
ミラー:あっなるほど、やろうとは思ってたんですね。
中井:開いてましたね。ここで開けたっていうのは、本当におじさんのお陰で。そういう運だったのかなと思ってるんですけど。
ミラー:ここは以前は普通のパン屋さんだったんですか?
中井:そうですね。
ミラー:こういうカフェ的に、食べれたり、飲めたりとかは無くて?
中井:ショーケースが窓側にポンて置いてあるだけで。
出口:いわゆる街に昔からあるようなパン屋みたいな。
ミラー:で、変えられて。僕ホームページとかも拝見させていただいて、おしゃれじゃないですか?すごく。 
中井:いやぁそんな、社長に言われて(笑)
ミラー:いやぁちゃんと、ちゃんとというか、しっかり作られてて。
中井:でも実際は、本当に周りの方達が色々やってくれているというか。ホームページのデザイナーをやっている方がたまたまいたり。
出口:クリエイターのお知り合いも多いみたいですよね。
中井:たまたま内装をデザインでしてくれたのも、友達で。ロゴ作ってくれたのも友達で。
ミラー:いいですね。
出口:信藤さん直系の。
中井:そうです、そうです。
出口:デザインをはじめた当時、信藤さんに影響受けたらしいですよ。(DJミラーボールを指す)
ミラー:僕大好きで。デザインとかをやりたいなぁと思ったきっかけだった事もあって。あの辺のカルチャーとか音楽好きだったんですよね。
世代的にそうじゃないですか?
中井:そうですね、ムーヴメントっていうか。
ミラー:ありましたよね。CDジャケットっていうのが、黄金期っていうか、なんていうんですかね。
中井:すごい変わりましたよね!!
ミラー:すごいあれで変わって!!そういうのを見てて、好きな音楽もそういう系統が好きだったんで、誰がこれ作ってるんだろうなって。
フリッパーズギターもピチカートファイブもミスチルも松任谷由実も一緒じゃんって思って。こいつ誰だって思って(笑)そういうの作る仕事したいなって思って。その時はそういうデザイナーがいるって事も知らなっかったんですけど。そういうのがきっかけだったんで。
信藤さんの事務所で働いていた方とか?
中井:そうですね。信藤さんのコンテンポラリープロダクションのスタッフだった方が、ちょうど独立したんですよね。僕が開く直前に独立して、その人がたまたま僕の友達の友達だったり。すごい偶然で。
ミラー:へー。大学で上京してきて、その頃下北の近くに住んでて、下北にしょっちゅう来ていて。で、たまたまレコファンでオレンジ色の派手なダウンジャケットみたいなのを着て、変わった人だなぁと思ったら、信藤さんで(笑)ついつい話しかけちゃった。(笑)
中井:下北沢に住んでたんですか?
ミラー:池の上に。下北から歩いて5分位なんですけど。大学の終わりから、就職して2年目位まで。大分来てました、この辺は。
中井:そうなんですか。下北って変わった方が多いですよね(笑)
ミラー:そういう色々な人がいるから面白いですよね。
中井:面白いですね。店やって特に感じましたね。僕、店開く前に、一番初め、朝のターゲットってサラリーマンだと思ってたんですよね。でもサラリーマンいないんですよね。この街って。この街っていうか。ここに集まってくる人って、あまりサラリーマンがいない、アーティストっていうか、写真やってる方とか音楽やってる方とか、演劇やってる方とか。何なんですかね?下北沢の魅力って?
ミラー:そういう文化って昔からあるんですよね?演劇とかも多いですしね。劇場とかライブハウスとかもあるからなんですかね?その周りとしてデザイナーとか、そういう人も多いんじゃないんですかね?
中井:僕はこの近くにちゃんと住んだのは、ここ3年位なんですよ。それでもやっぱり、八王子に住んでたときも、神奈川に住んでたときも、下北って魅力を感じますよね。
ミラー:そうですね。
中井:特に初めて来たときには、南口の方にばっかり来ていたんですけど、北口って特別な雰囲気がありますよね。アーティストの方がオーラを無くして歩いているというか(笑)そういうのありますよね(笑)
ミラー:僕、池の上に住む前も千歳船橋に住んでいて、飲むのも買い物も下北がやっぱりいい(笑)
中井:おしゃれさんですよね(笑)
ミラー:おしゃれぶってるだけです(笑)ちょうどいい位ですよね。渋谷だと人が多くて。今、事務所は渋谷なんですけど(笑)
お店やってると、人とのつながりも増えますよね?
中井:そうですね。
ミラー:お店やっていく上でも心強いというか。
中井:そうですね。ここの周りって若くても、すごいがんばっている方が多い。一人で独立されている方とか。すごい多いなぁと。一人でデザイナーやっている方とか、一人でライターやっている方とか。逆に自分よりがんばっている方が居ると負けてられないなぁと思って。
ミラー:刺激ありますよね。
中井:そういった意味でも、すごくパワーのある街なのかなと思いますね。
ミラー:面白い人いっぱいいますよね。
中井:いますね。いろんな人いますよぉー。
一人芝居やっている方とかいらしゃって。この間夜の2:30から公演に行ってきました(笑)
ミラー:夜の2:30からやってるんですか!?一人芝居を!?
中井:夜の2:30から(笑)バーでやってるんですけど。僕より全然上の35才くらいの方なんですけど。
ミラー:やっぱり表現する人っていうのが多いんですよね。店とかもそうですよね。お店すごくいいですよね。僕もいつか飲食店やりたいなぁと思いますもん(笑)人が集まる場所とかすごく憧れるというか。
中井:そういうのは確かにありますね。
ミラー:よく仕事とか、遊びとかで、このお店に行けば誰かしら知り合いにあえるとか。寂しいじゃないですか普段一人で(笑)仕事終わって家帰るって。
中井:それはありますね(笑)
ミラー:そこでコミュニティが広がってけば、それは、
中井:そうですね
ミラー:楽しい。
中井:やっっぱりそういうのは夢ですね。
ミラー:逆に自分でやるのは大変そうだから、仲良い友達誰かやってくれよみたいな(笑)
中井:(笑)
ミラー:出口さんやってくださいよ(笑)
出口:(笑)ナカイさんがここね、24時間営業にすればいい(笑)
ミラー:あっそうだ!そうだ!(笑)
中井:いや、違いますよ。23:00からはDJミラボールのBarとか(笑)
一同:(爆笑)
中井:ちょっと照明暗くして(笑)
ミラー:夜中店閉めておくのもったいないっていうか、どうせなら朝までやって。大変だと思いますけど。
中井:そうですね。でもそういう所多いですよね。
ミラー:夜の店がランチやってるとか。僕、前の会社の近くに、6人くらいしか座れないカウンターだけのバーがあったんですよ。良い感じの。カントリー調の。ウィスキーしか置いてないみたいな。昼間は讃岐うどん屋さんでしたよ(笑)
中井:まじっすか(笑)
ミラー:おばちゃんがやってるっていう(笑)
中井:熱いですね(笑)
ミラー:僕、聞いて。「どういう事なんですか」って。「何でここで讃岐うどんやってるんですかって」(笑) 「昼間だけ借りてる」って。
出口:二毛作だね。(笑)で、このふたりの出会いが盛り上がって、いずれそういうイベントを。月1回とか。
中井:いいですね!是非!
ミラー:スナックミラーボールみたいな(笑)







1977年 11月20日 北海道生まれ
大学卒業後、エンジニアとして働きながらパンを学ぶ。
2005年 12月 下北沢大英堂製パン所を継ぎ、ベーカリー&カフェ Mixtureを開店する。






本名:村瀬隆明。東京パレードのDJ役。デザイナー/アートディレクターでもあり(株)ナニラニ 代表取締役社長。「社長」があだ名だが、会社では誰にも呼ばれない。







■下北沢を音楽で表すとしたら?


HIPHOP、ロック、JAZZ、サンバ、SOUL、沢山のジャンルが混合したmixture音楽。
いろいろな音、パフォーマンス、個性が主張し合う、まるで「野外フェス」のような街。

■下北沢をイメージするアルバムを教えてください。



『パロール』 / 夏木マリ
(レディメイド・インターナショナル)

20代前半のころ、下北沢で遊び行くところがなくなる時間になると決まってビレッジバンガードに行ってました。その頃、ビレッジバンガードでよく流れていた曲です。





『ギター』 / 曽我部恵一
(ユニバーサルJ)

雨の多かった2006年、小田急線の工事、補助54号線の問題、なぜかこの曲をイメージします。





『東京』 / サニーデイ・サービス
(ミディ)

夢を追っている多くの若者、個性的な店、目的もなく街を散策する人々、暖かい雰囲気の中に少しだけ寂しさを感じさせる下北沢、そしてサニーデーサービス「東京」。








■下北沢を音楽で表すとしたら?


やっぱ歌謡曲。ムード歌謡寄り。なんちゃってジャズやソウルやタンゴな要素もあって。昔からある全然お洒落じゃない喫茶店で流れていて。あえてそれがお洒落とかじゃなくて。お店のドアはもちろん半透明の紫色のガラスドア。そこのマスターのおばちゃんにも色々事情があって。主人はずいぶん昔に出て行っちゃったし、自分は自分でどうしようもないおじちゃんとデキちゃってるわけ。店の有線はもう何十年も同じチャンネルのままで。そこから流れてくる陽気だけど少し悲しげな昭和な香りがする。そんな音楽。

■下北沢をイメージするアルバムを教えてください。


『娘ごころはスクーターズ』 / スクーターズ
(徳間ジャパンコミュニケーションズ)

例の憧れの人の。音楽もデザインもこの周辺から。俗に原点。うんぬんかんぬんじゃなくて楽しむ精神はこのあたりから学んだというか。渋谷系とかフリーソウルとかのおかげでたくさんの名作名盤を知ることができたし。音もデも。生活の拠点がどっぷり下北だった時代の話。



『Tapestry』 / Carole King
(Legacy)

例の一家に一枚。Fギャルと迷いこちら。これ聴くとなんか下北。正確にはジャケット見るとか。いや、キャロル・キングって聞くとかな。CKだからかな。色々なことに疲れ始めていた20代前半によく聴きました。関係ないけどFGの最近のBのPがとてもPOPでYOI。憧れのFロリータな彼女は未だ現れず。





『東京』 / サニーデイ・サービス
(ミディ)

例の名盤。恋。友情。人情。憎悪。雑多。雑音。踏切。古着。古本。雑貨。日曜日。マンガ。カレー。コーヒー。青くて甘い。まさに青い春。なんかこんな感じです、下北って。30になっても聴きたい。